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 PSYサイを使わない?!

 ただ真っ直ぐに自分へと向かってくるカスガのその気配は察したが、今立っている場所を動くわけにはいかなかった。動いたら、コウに危害が加わってしまう事を見越してカスガは動いたのだ。

「くっそぉっ!」

 易々と受け身になる訳にもいかず、シュカは後ろにいる自由の効かないコウを肩に担いで崩れかけのビルの中屋上に飛び移った。
 コウを抱えたままじゃリスクが大きすぎる。
 ちっと舌打ちしたシュカに、コウが震えた声で呼びかけた。

「お、おろしていいよ……? シュカ。おれ、おれ足手まといだ。おれシュカに迷惑かけたくな」

 ぱんっ。とお尻をはたかれて、コウは叱られた子供の如く顔をしかめる。

「誰がいつ、お前を迷惑がった。口閉じてないと舌かむぞ」

 ビルの屋上から屋上へ、まるで羽が生えたかのように跳んでいるシュカに抱えられながら、コウはぐっと下唇を噛み締めた。
 『自分のためだけに生きて』
 追ってくるシュカと同じ顔にコウは涙するしかなかった。何がどうしてこうなってしまったのかすら解らないコウにしてみれば、ただ数十メートル離れて追ってくるもう1人のシュカが元凶なのだていう事しかわからない。
 ドクン。
 高鳴った鼓動の奥に、じわりとにじんだ結論。
 ──────── “もう1人のシュカが元凶なのだ” ────────

「っ?! ……おいコウ、何考えてるんだ? ————っコウ!」

 ざわっと全身に鳥肌が立ったシュカは、被害として少なくて済みそうな場所を探しつつ、抱えているこう穏やかでない波動に焦りを覚えた。