p10
「ふっ、愚弄しないで頂きたい。 何の関係もない、ましてや娘にそのような事をすれば自ら関係者だと言うようなものだ」
「……ふん、確かに。 だが本部で裏を洗えばすぐに知れること……。まぁいい。連れていけ」
数十人といたG.S.P.の背と史郎の背を凝視している暁は顔をくやしげに歪めてバンッと拳で壁を殴った。
今、史郎を追いかけていっても、それは史郎にとって迷惑以外の何にもならない。 ――っどうして、何でこんな事に!
暁はめまいを覚えるが、ぐっと今しがた壁を殴った手で左胸をつかむ。
落ち着け。落ち着け暁。何か、何か史郎があたしに遺したモノがあるはずだ。何か――……。
「っオールコントロールマシン!」
はっとして暁は史郎のルームキーを慣れた手付きで解除する。
ピーッピピ!〔Φ-000-18、ルームキー解除 シマス〕。
扉がシュンッと開くと同時に、正面のオールコントロールマシンへと走り寄り、ひと通り眺めて暁はキャプタを呼ぶ。
「“キャプタ”!」
が、部屋は何も変わらずしんと静けさだけが漂う。 声紋が合わないから作動しない――!
暁は右耳にある深紅のピアスをピッと指で挟み、変声マイクと情報眼鏡を右側だけに伸ばす。