vol.3

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 西暦199X年 12月 日本首都東京 多摩川河川敷――――

 ごつっという音と共に、紺の学ランを着た男子は川の中にばっしゃん! とふっ飛ばされる。

「まだヤる気かよ。イー加減にしとかねぇと治療代かかんぜぇ?」

 今しがたその男子を殴り飛ばしたもう一人の高校男子は自分がしたにも関わらずに、腰に片手をあてながら川の中の男子にそんな事をのたまう。
 黒の学ランに、綺麗に脱色ブリーチされている髪が何とも映えている。

「バッカバカしくてヤってらんね。ツラ気に食わねぇ、ガンくれたっつってふっかけてきたのはテメェらだぜ?」

 そう。すでにこの河川敷には2人の気絶者が出ていた。
 全て……この少年にやられたのだ。
 川の中でそれを言われた男子は、傷だらけの顔から流れる血をぐっと腕で拭い、学ランを川の中に脱ぎ捨てて立ち上がる。

「ナ、メテンじゃねぇ順平じゅんぺい! つけ上がんのもいい加減にしろぉ!!」

「は……。ヤだねぇ、バカは。これだから」

 呆れて言った少年、順平はいっきに突っ走ってきたその男子のストレートのパンチをスッとしゃがんで避け、右脚でその男子の両脚をひっかけて正面から転ばした。
 ずしゃっという砂利の音。 沈黙。

「……もしもー……し」

 ノーコメント。

 順平は、はぁっとため息をつく。
 今日は厄日だ。1週間振りに行った学校じゃ担任と学年主任に丸半日しぼられて、授業に出たら出たでセンコー俺ばっか指しやがるし。家帰ろうとしたらしたで駅前でバカ達に絡まれるし。

「ロクな事ありゃしねぇ」

 学ランからセーラムライトの煙草を出してくわえ、順平はそのまま帰路へとつこうと多摩川を後にしようとした。が……。
カァッ! と川の上空で、まるで原爆のようにして“何か”が閃光を発した。

「ンおあっ!?」

 順平はバックからの光に思わず身を屈め、耳をぐっとふさいだ。
 しばしの、静寂。どきどきしながらも順平はしゃがみ込んだままゆうっくりと後ろを振り返った。
 ――――……はあ!?
 しゅわしゅわと音を立てて、さっき、今まで無かったその奇妙な物体は川の水辺寸前で止まっていた。