vol.5

p28

「じゃあ行ってくるわ。……順平、暁頼むよ」

 順奈はひらひらと手を振って夜の街へと出ていった。
 その姿を見て暁はぱちくりと目をしばたたかせる。

「……順奈さんこんな時間にどこ行くの」

 六畳の和室にある電気コタツという“ぬくい”モノを発見した暁はさっきからそこを離れないでいる。
 未来では冬だろうが夏だろうが空調設備が万全なので、さすがに12月の気候は暁にとって辛いらしい。

「んあ? 仕事。 ンな事よりテメェ女のくせに料理ひとつもしねぇのかよ! ったく、とんだ居候だぜ」

 故に、順平がフライパンなんぞを持って流し台に立っていたりするのだ。しかしこれがまた様になっているから何とも言えない。

「……生まれてこの方リョーリなんてした事ないわよ。だってみんな自動料理オートクッキングでテーブルにだされるんだから」

 首をすぼめてこたつにうずくまりながら暁はお膳にアゴをのっけて独り言のように呟いた。
 未来さきの事なのに懐かしいって……変なの。

「っほぉぉ~~~う!? この男の俺ですらこんな事してるってのに、エラクよいご身分だなぁあ!? テメェの分はテメェで作れよな! 俺はゼッテェ」

「“Φ-18ファイ-エイティ”」

 暁はアームバンドに埋め込まれているM.Cに向かってそう言う。