p32

 ヴヴッとアームバンドからキャプタは宙に浮く形で現れ、暁のタッチによって史郎のデータが蒼白い光となって宙にディスプレイされる。

〔了解 “Φ-18ファイ-エイティ”史郎 3Dフォーメーション ニ ムーブメント シマス〕

 足元からゆっくりと映写されていく史郎を見て暁は、迷子になった子供のような瞳をする。
 “史郎”は動かず、もちろん話すこともなく、ただただ凛とした顔を正面に向けて映されて立っていた。
 それを襖の隙間から順平が覗いているなんて事を、暁はもちろん知るはずもなく、刻々と夜のとばりが降りてくるのを待つのだった。
 分岐点ジャンクションが、近づいている事も知らずに……。

 

 

前にイクことしか知らなかった
後ろにモドルことなんて知らなかった
抗って しがみついて 逆らって……
それでも前に進まなきゃいけないって 思ってた幼い頃
けれど
けれど今は……?