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「ふっく、……うぅ————っ」
泣く事なんてない。たかだか昨日逢ったばかりのヤツだ。おまけにアイツのせいであんなトラブルに巻き込まれて、命まで狙われてよ。なのにどうして俺、こんなんミジメなカッコして……。
『アンタに決めた』 『やーねぇ、人に物を頼むタイドってゆーの?』 『……“あたし”の事。信じてくれてアリガト。オヤスミ』 『ジュンペー、あたし彼岸花見るまで帰る気ないの』
―――― 彼岸花見るまで…… ――――
「くっそぉ!!」
順平はやるせなさにぐっと顔をしかめ、額の前で右手を左手の平で包む。
なんとなしに歩いているうちに順平は病院の前まで戻ってきてしまった事に気づき、祈った拳をゆっくりと下げた。
ごめん、暁……。
大通りに面しているこの病院の前は、まだ車は走っていて、順平の想いをより大きな後悔へとすりかえようとしていた。と、その時。
カツ、カツ、カツ……。カツッ。
車は走行していても歩行している者など無いに等しい時間なのに、その足音は順平の前で止まった。
うつむいていた順平は街灯から映されたその影を不思議に思って涙と右手の血で汚れている顔を上げる。
「……こんばんは」
どこかで会っただろうか。
高い背に、長い銀髪。そして欧州人が持つような、淡い蒼の瞳。
気力のあまり残っていない順平は無気力に少し頭を下げて一応答える。