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「とっ、となりなんだからそんな……」

 メンドーなことしなくたって。
 そう言うあたしの言葉をさえぎって、自分の家に戻ろうとしている慎ちゃんの背中を見る。
 背ぇ、伸びたんだなぁ……。

「クスッ。 いいじゃん、デートなんだから」

 POLOのグレイのロングコートに手を突っ込んだまま振り返った慎ちゃんは、さらっとそんなことを言った。
 なんか、かっこいくなーい? 慎ちゃんってば。 灯台下暗し。だわ☆
 ほぇ~と、感心しながらあたしは手を振って見送って、玄関のドアノブに手をかけた瞬間。
 あぁ――っっ!! 慎ちゃんに家ン中見てもらえばよかったぁ~~~(泣)。 うりゅうりゅうりゅ(涙)。
 自分の家だとゆーのに、入るのをためらってしまう。(だっていきなりうがぁー! なんて襲われたらどーすんのよっ)。
 キィ……。
 ごっくん。
 なまつばを飲み込んでドアを開く。
 玄関の電気のスイッチは、一歩足を踏み込んで左手にある。
 かちっ。
 ぱっと玄関が明るくなる。 と、同時にほぅっとため息をついて安心する。

「やぁだ、やっぱりかけ忘れちゃったんだ、あたしぃ」