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「ひと、からかってたのしいのぉっ?!」

「あははっ、ごめん。 ……有栖からかうのってアレ、好きな子をイジメたくなるってのだから」

 びっくりしてあたしは間の抜けた顔をする。

「……映画! シェークスピアのヤツっ。まだ観てないんだけどなっ」

 ぷいっとそっぽ向いて言ったあたしはドキドキしながら慎ちゃんの出方を待つ。 と……。

「俺も、まだ観てないんだ。ってことで、それ観に行こう」

 そっきとはうって変わったさわやか~な笑みを浮かべて、慎ちゃんはあたしに手を差し伸べた。
 いっつも、慎ちゃんはズルイ。
 かならず最後にはあたしのことを優先させるんだから……。
 差し伸べられた手にあたしもゆっくり手をのばす。

「からかわれたの、まだ怒ってるんだからねっ」

 言いながらあたしの顔は、少しにやけた。
 それを慎ちゃんが気付いたのかはわかんないけど、目がなくなっちゃうんじゃない? ってくらいに細めて笑い、慎ちゃんは。

「わかりましたよ、お姫様」

 そう言って強引にあたしの手を自分の手のひらに包み込んだ。
 その手のひらの中に、あたしは安心感というものを……感じたのだった。