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「いやさ、ダイニングのすみっちょにアコギ(アコースティックギター)置いてあんじゃん。 あれって有栖の?」
上がりかけた階段を下りてあたしはダイニングに足を運ぶ。
そこには、使い古されたギターがぽつんと忘れられていた。
「……これね、パパがシュミでやってたの。でもあたし弾けなくって……そのまま」
「もったいねー。おれ触ってもいい?」
足早にアコギの横に行き、和泉はネックを持とうとしてあたしに聞いた。
あたしはといえば、頭の中で注意している慎ちゃんに謝りつつ、意外そうに聞き返す。
「……弾けるの? 和泉」
「ふふ~ん♪ これでもおれかなりの腕よ? リクエストは?」
『ねぇパパ、いつものあれきかせてぇ? き……きぃー』
『“禁じられた遊び” 好きだな有栖は』
『あらあなた、私も好きよ? ポール・モーリア』
過ぎ去って、もう戻れない時間……。
「“禁じられた遊び”……。 くすっ、初歩なんだってね、ギターの」