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「忘れ物はないかな? 有栖ちゃん」

「あ、はい! おじさん。 ……と思うんだけどなぁ」

 車のトランクを開けて、慎ちゃんのお父さんはあたしの荷物をよいしょと持ち上げて言った。
 今日は、昨日夜半から降り始めた雪のせいで、飛行機の便をずらしてもらったから。 と慎ちゃんから連絡があって、この早朝6時の出発となってしまったのだ。
 正直、おとといから寝ていないあたしは、この雪が和泉の涙に思えて、荷造りどころじゃなかった。

「まぁ、ほんの1週間も行かないんだから、修学旅行と変わらないよな」

 あたしの横であたしも入るように傘をさしながら慎ちゃんは言った。
 修学旅行……か。

「さてと、乗り遅れるのは困るからね、そろそろ行くけどいいかい?」

 ズキンッ! と悲鳴を上げる心。
 きっと、帰ってきた時には戻れなくなってる。
 ……なにに? だ、れに……。 ドクン、ドクン、ドクン。

「……有栖?」