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「いえ、特には」

 冷静さを欠くことのない返事。それに史郎は頭を殴られたような衝撃を感じる。
 “自分”を殺した時以来、会ってはいなかった。“この自分”が、壊れてしまいそうで、会えなかった。
 ―――― 唯一ノ、家族ナノニ ――――

「? Dr.ドクタ?」

いつの間にか足を止め、目の前でうつむいてしまっている主人にまたも不思議そうに名を呼ぶ。……が、返事は返ってこない。

「ドク……っ!」

 どきりと男は伸ばしかけた手を止め、絶句してしまった。
 今の今まで主人、史郎の感情というものをみる事がなかった男は、どうしていいものか戸惑う。
 史郎は、無表情のままうつむき、泣いていた。

「……Dr.、銀河連合S.Dより追記として、養成場に只今在籍している“μ-78 ミュウ-セブンティエイト・暁”の保護を依頼したいとの事なのですが」

 フラッシュバック。
『史郎、見て? かわいいでしょう。私とこの人の娘よ? 可愛がってちょうだいね』
『できるだけ……覚えていて? “暁”っていう女の子がいるって事を』