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「体、気をつけて頑張れよな」

 小さな神社、小さな境内。 心地よい風が頬をなでる。
 いつもならまだまだ輝いているほたるも、今日ばかりは縁日の屋台の灯りに埋もれて光がわからない。

「私、その三件の依頼が終わったら、こっち帰ってくるんだけど、その時も、いつもみたいに迎えてくれる?」

(理由なんてもう忘れてしまった)
 君は僕の手を握り、菖蒲の浴衣の胸元へと引き寄せた。
 最後の花火が、連続して夜空に上がり、僕たちと、昼間飾りに来た大きな七夕の笹の葉を照らした。
 僕の短冊のとなりで揺れているのは、君の名前と……。

「毎年毎年、短冊に書いてくれていた願い事は……、あなたじゃないと叶わないの」

(変わらない景色 変わらない……想い)
 願う短冊には、君の幸せを祈り……。

「……今度は前みたいに離れてなんかやらないよ?」

 織姫と彦星なんかじゃなく、常に寄り添うあの短冊のように。

「はい」

 互いに寄り添って……。
 彼女は瞳を潤ませながら、僕の左手を両手でしっかり握り締めた。
 君の幸せを祈った短冊の横には、
『ふたりで幸せに……』

 (恋しすぎるから)
 (愛しすぎるから)
 (理由なんてもう忘れてしまった)
 (変わらない景色 流れゆく時よ)
 止まっていたはずの心が いま 動き出した

                      The End