プロローグ
5年前、東京都大田区――。
その日は朝から雪が降っていた。
年末だし、学校も冬休みに入っていたせいもあって、雪が降っているにも関わらず、外には多くの人がいた。
あたしは家に居たくなくて……。うちの近くの駅から電車、バスを乗り継いで、知らない街の公園に来ていた。
ふと、公園の中に視線をやると、少し雪に埋もれたかたちの男の子がうつむいて、ブランコに1人座っていたのが見えた。
「……かぜぇ、ひくよ?」
その男の子の隣のブランコに座ってあたしは言った。
「……母さんも父さんも……」
「え……?」
「母さんも父さんもっ!勝手に俺を施設に捨てるように預けてどっか行っちまったんだからっ!別に俺がどうなろうとかまわねんだよっ!!」
男の子はいっきに言い放ち、下唇をぐっと噛み締めたように見えた。
雪のカタマリが……、心なしか大きくなった気がした。
「……似てるね、あたし達。 “これから、もっとずっと限りない大切をいっしょに感じあえる人と出逢える。 だからそれまで頑張って生きろよ”。 そう言われたの。パパに。 あはっ! パパとママが離婚した時に言われたんだけどね。……新しいパパも、ママも嫌い。 でも、パパのその言葉は信じてるんだぁ」
“もっと、ずっと限りない大切をいっしょに感じあえる人と出逢えるよ”