参~微かな希望

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 チッ、チチッ……。
 鳥の鳴き声と白く透ける光りの中、白いTシャツでいまだベッドの中で寝息を立てている魁は、ドアひとつはさんで向こうにあるオープンキッチンから聞こえてくる音で、ふっと目を覚ます。

「ん……、あ? げっ! 8:00?!」

 ベッドの脇に置いてあるサイドボードの上にあるデジタル時計を見るなり魁は飛び起き、バンッ!という音とともに部屋のドアを開け、洗面所へと行くつもりだった。 ……が。

「あ、魁さん、おはようございます。 冷蔵庫の中のもの勝手にあさっちゃったんですけど、食べて頂けませんか?」

 魁はキッチンのテーブルの上に並べられている色彩豊かな手料理に圧倒され、呆然としてしまう。

「あっ、食費! あの、私この分ちゃんと払いますっっ」

 沈黙している魁に対し、影良は怒ってしまったのかと思い、慌てる。

「え、あ、いや、そーじゃなくて……。 すげぇな、こんなに食ってたら昼ンなっちまう」

「くすっ。 魁さんのだけじゃないですよ! 仁さんにも取っておくんですから」

 1人で全部をたいらげようと試みている魁を影良は笑って言う。 が、当の本人は今までカシカシとかじっていた頭から手を離し、はっとして影良に言った。

「っそうだ、ゴメン! 兄貴さ、仕事夜だからまだまだ起きねぇよ」

「ありゃ、そーなんですか? ンじゃあ別のお皿に取っておけば食べてくれるかな……」

 くるりと身を翻し、流し台へと向かった影良を見て、魁はどくん。 と、鼓動を跳ね上げる。
 里陰……!
 その人物が影良と重なり、魁に幻想を抱かせた。

「……?魁さん、どうしたんですか?」

「っい……や、何、でもない。 では、いただくとしますか! あ、影良ちゃん」