四~とまどい

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 パァーッ、パッパァー! という爆音と共に、大型トラックが追い越し車線を勢いよく走り抜けていく。
 あれから5時間あまりの時が過ぎ、高速道路は渋滞のために首都圏を出るのが遅くなってしまったために、今、埼玉北部。
 案内標識を見た影良は、はぁっ。 と、ため息をつき、ふぁあっ。 と、あくびまでしてしまう。 同じような景色が現れては去ってゆく様を、影良は退屈そうに眺めていた。

「暇そうだね。 まぁ、無理もないけど」

 レイヴァンのサングラス越しに光記は横目で笑い、影良に言った。 それを聞いた影良は深いため息を再度ついて光記にきく。

「……ねぇ、どうして私を殺さない? あなた達は“私”を殺すためにるんでしょ? そのトップの男が、なぜ私をサポートするの」

「さぁ……なぜだろうな」

「っ! はぐらかさないで! ……私はなにも知らない。ただ、姉貴が言った『羅豪の生まれ変わりだ』って。それしか知らない。 “家族”なんて、姉貴しか居なかったから……、もう、何もきけやしない。 ——っなにが、どうなってるのか……! 何もわからないっ」

 涙目でそう言った影良に、光記は眉間を寄せて重たそうに口を開いた。

「……地球が誕生して45億年。 人類が、ホ乳類が出現したのは約40億年前。 その5億年という間は、恐竜やハ虫類の天下だったっていうのは、学校でも習っただろ?」

 影良は何のつながりも見られない光記の答えにいぶかしげな顔をするが、光記の真剣な顔つきに、仕方なしにうんと頷く。

「その“5億年”という、氷河期を迎えるまでの間。 この地球上には現代人よりとてもはるか優れた能力を持つ人間達と、その文明が栄えていた」

 え……。 と、影良は目を丸くする。
 けれど光記はさっきと変わらず凛として、とても冗談とは思えない言葉を次々と口から溢れさせる。