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「うん。 あ、のさ……その、“さん”ってのやめようよ。オレだって君のこと呼び捨てなんだから。 “光記” でいい」

「う……ん……」 ドキドキドキドキ……。

「影良、喉……渇かない? オレ今なにか飲み物買ってくるからさ、このベンチで待ってて」

「あ、私行くよ」

「クスッ! オレが買ってきてやりたいの。な?」

 そう言って影良を待たせ、公園の外にある自動販売機に光記は向かった。
 優しい人……。 幸せすぎて、怖くなる。 不安になるのは、貴方のせいだ。貴方が優しすぎるから不安になるんだよ。 不安に……。
 ザアッ! と、勢いよく風が吹き、刹那瞳を閉じたあと、だった。
 ドクン! と、影良は鼓動を速めてベンチを立つこととなる。
 影良の座っていたベンチのすぐ隣。 公園で一番大きな樹の下の木漏れ日の中、映えるプラチナブロンドの髪がそれを反射させて風になびいた。

「……っタ……シャ! っあなた、どこから……——!」

「いいお天気ですね、エイラ。 ……そんなに怖い顔なさらないで下さい。何もしませんから」

 樹の下でずっとそこに立っていたかのようなターシャは組んでいた腕を外し、硬直してしまっている影良の元へ歩み寄った。

「……もうひとりの貴女は、眠ってらっしゃるのですか? エイラ」

 

 

 

「え……?」 ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……。

 少々膝を折り、そうっと影良の頬を自分の手で包み込んだターシャは親指を彼女の唇へと這わせ、言った。

覚醒きて、下さい……」

「……っ。 手……」

 自分の頬に感じたごわついた包帯に影良は眉をひそめる。
 この前の……傷。

「……手、ごめん。 それは……あやまる」