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『っ羅豪!!』
偽り……? あの笑顔も、あの口付けも、あの……夜さえ……。
———— ホントウだったはずだあの時は ————
「光記……? っ?! こうっ!」
ずるりと光記は影良の肩に再びもたれかかり、苦しそうに顔を歪めた。
「……っわ、るい。 今日は戻って……いい、かな……っ」
青ざめた顔のままゆっくりと体を起こした光記は、気持ち悪そうにそれだけを影良に言った。
「あたりまえじゃん! 帰って、休まなきゃっ!」
これが、今まで思い出したがっていた答えか?
理由なんてない。
絶対の……。
———— 事実 ————
「ここはオレと医者が看てるから、休んでていいぜ?」
裕也は昼間から光記の側で付きっ切りの影良に気遣い、ためらいながらもそう促した。
影良は光記の首筋に光る黄色いあざのような模様を見つめ、カタン。 と、椅子から立つ。
“光印”というそれは、覚醒が回を増すごとに輝きを強くする。 と、影良はついこの間光記から聞いたのだ。 そして自分には額に“龍印”という翠色の刻印が浮かぶのだと……。
「……何かあったら、呼んで下さい」
自分が居ても何の役にも立たないもどかしさに影良はため息をついて、隣の自室へと戻った。
影良はベッドに腰を下ろし、灯りもつけずに静止する。
前世を……思い出してるのかな……。
あんな苦しそうな顔をして……。
あんなに苦しまないと、思い出さないと、真実は……わからないのだろうか。
「……っかんないよ!」
ふっ! と、泣きたくなったその刹那……だった。