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「っ姫! このような下賎な者に何を!」
横で声を荒げているヤ=シャを眼で叱咤し、ラ=ゴウは少年と目線を同じくしようとかがんできいた。
初めて、だったのだ。 あんな風に話しかけられたのは……。
「あ……。 父さんっ、ち、父が装飾人なので、そのっ手伝いを……! お赦し下さい!」
「名前は?」
「オル=リラーと言います……」
自分に話しかけているラ=ゴウより、その横に居るヤ=シャのほうに恐れを抱き、恐縮してしまう。 が……。
「オル=リラー、お父様の装飾、見せて下さらない?」
「姫様! なりません。皇室の者がそのような身分の者と慣れ親しむなどとっ! ラ=ゴウ様!」
「平気よ、ヤ=シャ。 正午には間に合うように戻ります!」
止めるヤ=シャの言葉をさえぎる様にしてラ=ゴウはオル=リラーの手をつかみ、ドレスを翻して走って行った。
「クスクス。 相変わらず手ぇ焼いてるわね……ヤ=シャ。姫様の“おもり”も大変だこと」
「……」
艶かしい肌をヤ=シャにすり寄せた女官は走り去っていったラ=ゴウの後を見て笑って言った。
「パパ代理もご苦労よねぇ……。 今夜は私、こっちにいるの。よかったら誘って? 子供ばかり相手にしてないで……ね?」
「フ……」
瞳を伏せて微笑したヤ=シャだったが、次の瞬間、身体をある一室へと跳ばすこととなる。
(ヤ=シャ————!!)
脳裏に直に受信したテレパス。 確かにラ=ゴウの悲鳴であった。
「ヤ=シャ! っんもう!」