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 しかしその安心もつかの間、光記は翠に光る……影良の額に気付き愕然とする。

「ま、さか……っ!」

 ドクドク。 と、速まる血流。
 光記は影良の分けられた前髪をばっ。 と、かき上げ、奥歯をきしませた。

「——っ龍印!」

 うっすらと翠色に浮かび上がり輝く、龍司にしか与えられない証。
 しかしこの印は現時点で影良の額に浮かび上がる事は、まず……皆無に等しいはずであった。
 なぜだ……。まだ覚醒期ではないはずだっ。 それなのに……なぜ?!

「光記、早くここを出るぞ! あのロンゲ、何仕掛けてくっかわかんねぇぞ!」

 魁の言葉に光記はハッ。 と、して我に返り、やりきれない思いのままひとまず本家へともどるのだった。

 

 

 カチッ。と、光記は部屋の灯りをつけ、自分のベッドに気絶したままの影良をそっと寝かせる。
 ……何があった。あの男と……。 覚醒さえも早まらせる、何があったんだ!
 消える間際にターシャが影良にしたキスシーンを思い出し、光記は切なそうに目を細めて唇を噛んだ。

「光記、私の事忘れてない?」

「……消えろよ……っ」

 背後からふいに言葉を投げかけられて、光記は驚くどころか怒りを覚えたその女、風見 亜伊かざみ あいに言った。
 けれど光記の言葉を予想していたのか、亜伊はクスクス。 と、笑って影良の寝ているベッドの脇、光記の真横に並んで立ち、事もなさげに話題を切り替えた。

「可愛いわねぇ、“影良ちゃん”。 ……でも、所詮はガキだわ」

「……っにが言いたいんだよっ」

 これ以上、悩みの種を増やしたくはなかった。
 光記はキッ! と、亜伊を睨み上げて自分からなんとか出て行ってもらうよう仕向ける。が、それすら一笑して亜伊は横になったままの影良を見下ろす。