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「“————?! 何奴! っぐふっ!”」

 魁はひと言、影良に謝って振り返りざまの“影良”の首筋に手刀を入れた。
 どさり。 と、“影良”は両膝をついて光記に倒れかかるようにして気絶した。

「……さて? どういうことになってんだ、光記」

 相変わらず縛られているはずの長めの髪を今日はそのままに、左手を腰にあて、右手で髪をかき上げた魁は、光記が安堵の息をつくのと同時に聞いた。

「悪かったな、その能力ちからは辛いだろうが助かったよ」

「お前の侘びを聞きに来たわけでも、お前を助けに来たわけでもない。 影良を、助けるためだ」

 魁の言葉に光記は苦笑し、影良を両腕で抱えてベッドへ寝かせた。
 影良の額には、龍印が翠色に輝いたままだ。

「……覚醒、したのか?」

「——っ正直わからないんだ! お前は前世むかしの人格と入れ替わったか? 確かにオレのなかに尊光は“いる”。が、記憶だけが余分に増えただけのような感覚なんだ」

 光記はベッドに横たえた影良を上から見下ろし、少々混乱している気持ちを落ち着けようと必死になる。

「そうだな。 しいて言えば記憶が増えた。確かにそうだ」

「なのに……、影良は、羅豪に変わった……。羅豪の人格が表に出てきた。 ……どういう、ことなんだ……?」

 想定していた覚醒とは異なる現実を目の当たりにし、光記は頭を抱えるしかなかった。
 と、その時。 裕也が部屋のドアを改めてノックし、部屋へと足を踏み入れた。

「光記、まずいぞ。 今の騒ぎで叔父貴が完全にぶち切れた」

「……どういうことだ」

「悪い。 前回、影良がここから出て行った後に、盗聴器とカメラを設置させていたんだ」

 ざわっ!!
 光記はバッ! と、体を翻し、ベッドの下、カーテンレール、クロゼットを勢いよく探し始める。