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 カツン。 と、女王の間と通じる皇宮最奥にある玉座の間から、髪色と同じくした足元まであるマントを翻して部屋に入ってきた男、セピタ=サイ=ヤ=シャ。
 セピタ族としての証である石榴色の瞳は、すでに帯神の証である漆黒の瞳へと変化していた。 そして、左手の甲に帯印……。

「っヤ=シャ!」

「ユエの暁であられる女王陛下へご挨拶申し上げます。 セピタ=サイ=ヤ=シャ、只今帰還致しました。遅くなり申し訳ございません」 バサァッ——!

 ヤ=シャはマントを大きくたなびかせ、ケイ=ト女王のベッドの足元に方膝をついて頭を下げた。そして薄く瞳を開け続ける。

「セピタ=ヴィーダ=サイ=ヤ=シャ。 確かにヴィーダの任、賜りてここに遂行いたしますことをお誓い申し上げます。 陛下、早速で申し訳ございませんが、姫様に薬を……」

「ヤ=シャ……。 たった今、継承は無事済み、……っユエの女王は此れよりユエ=ア=テイ=シャ=ラ=ゴウぞ……。 龍印を、わらわから移した……。 あとは、世継ぎぞ。ラ=ゴウ」

 翠色に光る女王の証。 瞳と、額にいだかれた龍司の印。
 それが故に、絶対とされる使命……。

「母上……っ!」

 ラ=ゴウはその場に泣き崩れ、ヤ=シャは横になりながらも力強く頷いたケイ=トに返答するように自分も頷き、女王の間“だった”その部屋をラ=ゴウ共々後にした。

「ヤ=シャ、ヤ=シャ! 早く、早く母上にその薬草をお飲ませして? わたくしはどうなっても構いませぬ、母上を……!」

「姫……っ、ラ=ゴウ女王。 貴女はもうすでにこの国にとって必要不可欠な方、そのようなことを仰ってはなりません」

 ラ=ゴウの皇女室へと戻る途中、ヤ=シャは自分に必死で懇願するユエの新女王を何とか諭そうと試みるが、どうにもラ=ゴウはそれを受け入れない。

「ヤ=シャ!」