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 夜の闇に照らされて、プラチナブロンドの長い髪がうっすらと浮かび上がっている。
 ターシャ・ヴェルリア・ルース。 ―――― 夜 叉 ――――。

「……いい加減、勝手に人の部屋に入るのは悪趣味だよ、ターシャ」

 影良はギシッ。と、ベッドを音立てて上半身だけ起こし、相変わらず涙を拭かないまま左膝を立てて、ゆったりと椅子に腰掛ける北欧人に言った。

「申し訳ありません。次からは、気をつけますね。 ……今日は、ワタシを見ても怒鳴らないのですか?」

「怒鳴ってほしい? ……ワケ、ないでしょ。 ————……っ! ターシャ、あなたの本当の目的はなに? あなたも、私に前世を思い出させて、真実を知りたいの? っそのためだけに、私に近づいたの?! 私の役割って……っ!!」

 涙でくしゃくしゃになったままの顔をそのままに、影良は1メートルと離れていない前世の想い人に吐き出すようにぶつけた。
 と、その時だった。 きつく、大きな腕で全身を抱かれたのは。
  ……―――― え……?

「思い出さなくていい! アナタは……エイラはエイラで、いればいい! 記憶などなくてもっ、ワタシを愛してくれさえすれば……っ! アナタは、それ以上なにもしなくていい……」

 涙で濡れそぼった頬を冷たく白い、長い指で包まれて、影良は自分の目の前にある碧眼を食い入るように見つめることとなる。
 思い、出さなくて……いい? だって……。 ドキン、ドキン、ドキン……。

「……そうしたら、あなたは何のために、日本に来たのかわからないじゃない。 私を、龍司にするために、来たんでしょう?」

「フフ、そうですね……。 けれど、“キリユウ エイラ”に逢えた。それはワタシにとってとてもかけがえのないことなのですよ」