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「……まだ、間に合うかな」

 あたしはまだぱりぱりしている頬をなんとか動かして、ぽそっと呟いた。

 カタチの違う、雪が降る。

「気づけたなら、遅くないんじゃないですか?」

 カケテいるなにかを見つけ出そうと、がむしゃらになって上京したその街は。

「そ……だよね。あたしだけの結晶。作れるなら、作らないと、だね」

「そしたら1番に、俺にどんな結晶か、見せて(聴かせて)くれませんか?」

 雪さえもカケテしまう氷のような街なのに、溶けたそれをやさしく、真新しい結晶へと作り変えることのできる、あたたかい“人”が、そこにはいた。

「うん」

 カタチの違う、雪が降る。
 あたしの心と似たように、カケタを埋めようと、都会の雪は舞い降りる。
 新しいを作ろうと、都会の雪は、舞い降りる。
 少年は、

「また来年!」

 と言って手を振って去り、あたしは精一杯の感謝を、雑踏に負けない位の声で少年に叫んだ。

「あっ、ありがとう! また来年ね!」

 もう1度少年は歩きながらあたしを振り返り、笑顔で大きく手を振って、結晶の中へと消えていった。

 カタチの違う、雪が降る。
 ナニカがたりない、都会の雪……。

 あたしはポケットから携帯を取り出し、もうずいぶんとかけていない番号をダイアルした。

「あ、お母さん? あたし……。 今までごめんね。 今日、今からそっち帰るから、年越し、いっしょにしてもいい?」

 カタチの違う、雪が降る。
 ナニカがたりない都会の雪は、ナニカがたりないあたしの心に、カケタ結晶のカケラを、やさしく、降らせてくれました。

                  (終