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 店内には、ユーロビートの曲が軽やかに流れている。
 ほんの一瞬。ほんの刹那。そのボリュームが上げられたのかと思われるくらいに、俺たちの間は静まり返った。

「俺ぇ……さ」

 1週間前だったらきっと話をそらしてた。 けど、今は……。
 いろんな人に支えられている。
 “友人”が、居てくれている。
 わかってくれる“友人”が……。

「T大の……医学部。受験する、んだ……」

 言葉の最後が恥ずかしさで小さくなる。
 俺はうつむき加減でそう言って、前髪をかしかしっとかき上げる。

「だから、そんなに必死だったんだ……。 葵なら大丈夫だよ」

「センパイ、小児科の医師(センセイ)になれるよ。 イイヒトだから!」

「~~~っ。 おっま、そーゆー目の回ること平気で言うなよっ」

「でもいいじゃない、小児科医。 いいと思うよ」

「どーして2人して笑いながら言うんだよっっ」

 カウンターの中から、からからと笑い声が店内に響き渡る。
 この前までの被害者意識はどこかに消えていた。
 “逃げているばかりじゃ進めない”