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今日はバイクじゃなくて歩きだったから、まだ暗めの春の夕暮れ……という空の下を、黙々とただ駅に向かって歩いていた。
「睦月。 きいていい?」
返事は、なかった。 ただ少し視線を落とすと、切なそうな睦月の顔だけが視界に入った。
「あの女の人ってさ……、晴行さんの、彼女?」
「そんなのボクが言うことじゃないですよ」
きっぱりと睦月は真正面を見て早歩きで言った。
「だってお前、俺より前から晴行さんのこと知ってただろ?」
「っだから! そんなのボクの口から言っていいものじゃないでしょう?!」
「……俺ただ、聞いただけだろ」
「――っ!」
足を止めて睦月はギッと俺をにらみつける。
もう少しつついたら泣くかもしれない。 というところまで、もしかしたらきていたかもしれない。
我ながら姑息な聞き方をしたものだ。
「“俺には関係ないこと?”」