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 いつもの睦月の口調じゃなかった。
 2・3発殴りあったあと、コンクリートに殴った勢いで倒れたら右手の甲をすった。
 血がにじんできたと思ったら、いつの間にか降ってきていた雨に流され、雨と混ざった。
 けれどそんなこと気にできないくらいにごろごろと倒れたままコンクリートの上で殴り合っていた。
 俺も睦月も、頭に血が上っていて、なにをどう殴りあったのか覚えていない。

「っくしょおーっ!」

 ぎりっと奥歯をきしませて殴るのを止めたのは、睦月だった。

「畜生————っ!!」

 両腕で顔を隠しながら、上から落ちてくる雨で涙を消そうとしている睦月の横に、俺も振り上げた拳を下げて寝転がり、空に昇っていくような錯覚を感じていた。

 ……晴行さん。 俺たち、こんな事教えてもらいたかったんじゃない。
 ゆずれないことを持つことが自由って、分からないよ……。 晴行さん。