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「……覚えてないもなにも、俺はお前を知らない」

 正面を出てすぐの電柱のかげに隠れて、睦月はさめざめとそこから数歩も離れていない俺を見て、背中(バック)に縦線を背負う。

「覚えてくれてないんですかぁ~? ボクさみしぃですぅ~~~」

 ……あいた口がふさがらねぇよ。

「まぁ、センパイと話したことないからしょうがないですけど……って、え? センパイどこに行く……」

 睦月の言葉なんか聞いていないに等しく、俺は辺りを見渡して今にも壊れんじゃないの? っていう廃屋の門をくぐる。

「センパイ?」

 唐突だが、うちの学校は“単通”いわゆるバイク通学は禁止されている。 品行が良くないとか何とかいうのが理由らしいがよくは知らない。
 俺は廃屋の裏にとめてある新しい買ったばかりの小型バイクの脇に足を止める。

「……センパイ、これって……?」

「なに、こんなトコまでついて来てんだよ」

 今まできちっと分けられていた前髪をくしゃくしゃっとかいて、メガネとネクタイを外す。