TIME 3
p.11
俺はバイクを“ZAIN”と書かれてある楽器屋の脇にある小狭い路地でエンジンを切り、メットを取る。
「……おい、着いたぞ。降りろよ」
返事は返ってこない。
「睦月ぃ……」
ヤバイな。 さっきりは落として走ったと思ったんだけどな……。
「センパイ、ここですか?」
「お、あ……ああ、そう。 ちょっとここに居る人にあって」
と、その時だった。
左耳にだけ付けられた銀のピアスにイレギュラーカットの男の人が、店の通用口から出てきて不思議そうにこちらを見たのは。
「あれ、葵……と、睦月? 意外な組み合わせだな」
軽く笑って言ったこの人、俺と歳は2歳違うが学年ひとつ上である、田野中 晴行(たのなか はるゆき)。
「はるゆ……」
「晴行さん! 葵センパイと知り合いだったんですか?」