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と、そう話し終わってからふと、カウンターの壁掛け時計に眼がいった。 もうすでに6時半をまわっている。
「晴行さん、俺帰るよ。 もう遅いし」
「ええっ。 センパイ帰っちゃうんですかぁ?!」
そんな風に別れを惜しんでいるように言いながらも、しゃりしゃりギターを弾く手を止めない睦月を再度見て、俺はため息をついた。
どうやらくされ縁になりそうだな……。
「先、帰るよ。 明日全国模試だからさ」
「……まだガリ勉やってるの。 逃げていたら、解決しないよ?」
鞄を背負い、店を後にしようとした時、背中から晴行さんの声がきこえた。
はい。 わかってます。 でも、もう少し考えさせてよ……。
「ほどほどにしとく」
そう笑って言った俺は、自分で自分をズルイと思った。
答えになってねぇじゃん……。
「気をつけて帰れよ」
ひらひらと手を振ってみせる。
ここで余計なことを言ってくれないトコが、やっぱり、どうしても、晴行さんだと……俺は思った。