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 しばらくの間を置いて彼女は言う。

 俺はというと彼女の肩に顔を埋めてじっと身動きしない。

「あーっおい! うりゃっ。どーしたのよ」

 彼女は俺の脇腹をていっ! とつつきながら聞いてくる。
 俺はというと、きゅっと細い貴女を抱いて、泣きそうになっていた。

「……っと、ずぅーっと一緒に居よぉね? 葵……」

「……離れることなんか、ない」

 言ったあとで……俺は、なぜだか分からない涙を流した。
 それを貴女は、何もきかないで優しく俺を抱き返してくれた。 そう、何も……言わないで……。

 あの時泣いた理由ワケが、今になって……貴女がいなくなってからわかるなんて……。思いもしなかった。

 

 

「雪、積もるな……この分だと。 なぁ葵君」

 梅原さんが窓を開け、冷たい空気を室内に招き入れる。

「そ、うですね……」

 初めて……愛しいと思った。
 初めて……貴女がいなくなることを怖いと思った。
 ―――― 小夜子の……うそつき ――――