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 彼女の面影がある義理の妹の小枝子ちゃんが、遠慮しがちに言った。そして目の前にハンカチを差し出し、悲痛な面持ちで一言。

「涙、ふいて下さい」

 俺……泣いてたんだ。

 その時初めて気がつく。

 ―――― もう、小夜子かのじょはいない ――――

「ご苦労様だったな、葵君」

「……いえ、そんなことないですよ。 お義父さんこそお疲れでしょう」

 白い骨壺にすっぽりと納まってしまっている娘をじっと見て、俺にとっての義父である梅原 勇介ゆうすけはひっそりと言った。
 しばらくの、沈黙がつづく。
 梅原さんも俺も、言葉を告げることが出来ない。
 うるさいほどの静けさが部屋を包む。

「あの娘は、幸福しあわせだった。 君みたいにいい人に出逢えて……」

 先に沈黙を破ったのは、梅原さんだった。

「自分は……いい夫ではなかったですよ」