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今日はおもいっきりおしゃれして行こう。
キレイだって、言ってくれるかな……。
「……いや、言わないわね、葵は」
はふっと息をついて、鏡に向かってお気に入りの口紅をひく。
『待ち合わせ』なんてゆーから、ドキドキするじゃんよ。
いつも待ち合わせていたレトロな喫茶店。
大学の帰りに早く終わった方がこの喫茶店の窓際一番奥にある、入口が真っ先に見える席に、入ってきた相手がすぐわかるように待とうと、 あたしが決めたこと。
『————っどこだって同じだろう』
あなたは言ったけど、それでも自分が先に終わった日にはそこに座って待っていてくれた。
あたしと目が合った瞬間にあなたは、顔を真っ赤にして言い訳したのを覚えてる。
『こ、ここに通されたんだよっ。 ————なんで笑うんだよっ』
あの席にあたしは今座っている。
12時10分前。
そろそろ……かな?
「……小夜子」
「あお……。やだ、ちぃちゃん久しぶりぃ。イイ人見つかった?」
「ははっ、フラれて初めて会う元婚約者にそれ言われるとけっこうキツイもんだな」