p21
……。ああ……。くすっ。なんだ、なんだぁ……。
「なに笑ってんだよ。俺はな! なんでいつもと」
「久しぶりの葵とのデートだもん。いつもと違うのは葵のためだもん」
あたしがそう言うと葵はみるみる真っ赤になって、右手で口を覆いそっぽを向いた。 葵の照れる時のクセだ。
「ねぇねぇ、お願い……あるんだけどな」
「————っなに」
まだ赤らんでいる顔を気にしながら、葵はちらりとあたしの方に目をやった。
今日で、ちょうど一年になるね……。
「去年の今日行ったトコ、連れてってよ」
「……なにを、何しに行くんだよぉ」
あ、ムカ……。
ずるずるとテーブルに片腕を伸ばして葵は突っ伏する。
「だって次いつ行かれるかわかんないじゃん! ねー、あーおーいぃぃ。行こうよぉー。行こうってばぁー」
ぷぅっ。とふてくされながら横から葵の顔を覗き込む。
小うるさそうな顔をしているけど、もう一押しすれば……。
「ね♡」
うんって……。いつもなら言うはずだったんだど、この時ばかりは違って、んべっ! と舌を出して拒否した。
~~~っっ!