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 最後の方はもうすでに怒鳴り声になっていた。
 確かに尋常な反応だろう。旧友を捨てたのかともこの場合読んで取れる。
 しかし葵はバンッ。 と、テーブルを叩いて立ち上がり、シャッとブラインドを下げて小枝子に振り向いた。

「あいつがこんなことするはずがないって事は、俺が十二分に知ってるんだ」

 背後のブラインドの隙間から差す夕陽の影になっている葵の顔は小枝子からは見えなかったが、その言葉の意味するところを、あえて小枝子は口にして言った。

「犯人は七澤くんの他にいる」

 

 

 翌朝、ろくに睡眠を取らずにいた葵に気遣う言葉をかけながら、小枝子は今日から3日間の旅行日程を契約している久世 薫。高坂 理恵。柴崎 舞子を東京駅ホームへと連れだち、葵に紹介した。

「えー、今日の日程ですが、お昼に京都駅着。一度ホテルを確認。チェックインして荷物を置いてから……」

 葵は今朝の新聞の内容をもう一度頭の中で、小枝子の声をBGMにしながら考えた。
 目撃者もいる。どういう理由があるかのかは分からないが、動機もあるらしい。凶器には睦月の指紋。ジャケットの血痕の一致。

 あいつは人を殺せる人間じゃあない。

 昨日から何度か頭の中で自分に言い聞かせている言葉をまた、復唱する。

「社長」

「え、なに小枝……じゃなくて梅原さん」

「乗り遅れますわ」