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「……確かに僕は、あいつらを殺してやりたいと思ったことが何回かあったんだ」

 もう夕陽も沈み、個室の天井のおらぼろげな照明だけでこの一室は暗くならずにすんでいた。
 病室には、葵。圭助。そして淡々とベッドの上で語る睦月しかいない。

「……っあいつらはっ、人間じゃないっ」

 睦月の表情は、呆として焦点が定まっていない。しかし口調だけはしっかりと、真実を伝えようとしていた。

 センパイが卒業してすぐでした。あいつらに……戸野部 雅也とのべ まさやと、矢崎 知彦やざき ともひこにカツアゲされるようになったのは。
 断れば殴る、蹴るの暴行。お金渡したって、高校生のガキが用意出来る金額なんてたかが知れてる。 少なければ、やっぱりヤラれた……。
 今、考えると……よく自殺しなかったですよね。そんなに、強い人間でもなかったはずなのに。

 呆としているのは、安定剤が効いているせいである。

『睦っちゃんが殺しちゃったよーなモンだよなぁ! 雅ぁ』

 知彦が、言っている。
 僕じゃ、ない。僕の……せいじゃ、ないっ。

『いーや、睦っちゃんがぁ! 殺したんじゃん』
『睦っちゃんの! せ・い・だ・ぜ?』

「……ぃっ。僕のせいじゃないぃぃっ!!」

「七澤くん深呼吸して! 他には、誰もいない」

 圭助は睦月の震えている手を両手でぐっと握り返して、もう一度復唱する。

「大丈夫。他には、誰もいない」

「……記憶が無いって、言ってたよな」

「え……?」