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 その晩葵は京都に来てこれまでずっと病院の宿直室に泊まりきりだったという圭助を代理店で手配したホテルへと招いた。

「……あぁら社長。今日はもうお帰りにならないかと思っておりましたわ」

 ロビーに着くなり葵は見慣れた女性と目が合い、静かに言われたその言葉にざぁっと顔を青ざめる。

「さ、小枝子ちゃん。こっち俺の……」

「病院行った後、なんっの連絡もなくどこで何してたんですか! 真っ赤な顔して、ニューハーフなんか連れちゃってっ!」

 葵と圭助は互いに互いの顔を見合わせ、酔っぱらっているせいなのか何なのか肩を組んでどっと笑いの渦を作り出した。
 しかし笑われた本人は余計に腹が立つ。

「なっ、なんですか?! 失礼なっ!!」

「小枝子ちゃんこいつ医者! 現役のっ! ニューハーフって、ニューハーフって!」

 夜も更けているというのに腹を抱えて笑う葵は、「お前髪切れよ、これぇ」。と、圭助の長めの髪をくんくんっと引っ張りながら言った。