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「おい、引っ張んなよ葵。禿げたらどうしてくれるっ。 藤崎 圭助。さすらいの医者やってまぁす」

「さすらいってなによ。流れてっちゃうの?」

「そう。こう……ふらふらぁーって」

 圭助は流れる振りをしてしてみる。
 そしてまた起こった笑いに小枝子ははぁっ。とため息をついて腕を組んだ。

「……で、七澤くんは?」

 ぴたっと二人の表情から笑いが消え、視線が一転小枝子へと集中する。

「……俺が真犯人を叩き出してやるの」

「じゃあ七澤くんは無実なのね?」

 しばしの沈黙。
 ややあって圭助が、

「俺たちが信じてやらなきゃ、ね」

 そう葵と組んだ肩にぐっと力を入れて強く言ったのだった。

 

 

「……で? うん、明後日ね? それ絶対の情報だろうな。 ……ガセだったら許さないぞ渋谷」

 大浴場から一足遅く部屋へと戻ってきた圭助は、先に上がっていた葵の方へと目を向ける。

『じ、冗談よせよ葵ー。 そうでなくてもこんな事許されないんだからなぁ?』

 ルーム電話の受話器の向こうから漏れてきた声。