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街の大通りにあるファミリーレストランの中に足を踏み込んだ葵は、きょろきょろと辺りを見渡して久世薫を探す。
「日下くんっ」
奥の窓際の席で薫は手を挙げて葵に知らせる。
「ごめんね。しばらく予定が立て込むことになっちゃって、時間が今しか空きそうにないからこんな時間になっちゃったんだけど、迷惑だった?」
本当にごめん。
そう言って謝る薫を葵は別に大丈夫だよ。なんて言って気にしないようにとなだめる。
「あ、日下くんお夕食は?」
「うん、もう済ませた」
「じゃあなんかデザートでも……」
「いいよ。さっき夕飯食べたばかりなんだ」
「……そ、っか。なんか、色々と話ししたかったんだけど。 ……ごめん。旅費は口実なの」
薫はしんみりとした面持ちで微笑し、手前にあるコーヒーをスプーンでかき混ぜる。
「えっと、梅原さんにこの前聞いてびっくりしたんだけど……結婚、してるって」
「……」
「同窓会の時そんなこと一言も言ってなかったから。……驚いた」
葵は窓に視線を流し、通りゆく車をぼうっと見る。
「今度、会ってみたいな奥さんに」
「……それは、できないんだ」
ひっそりと、視線はそのままに葵は答える。
「去年の12月に、事故でさ、他界。 道路に飛び出した見も知らない子供を庇って。 ……即死だった」