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僕は、とめどなく降る雪の中で泣いていた。
久しぶりに顔を出した太陽も、顔をかくして。
昨日は久しぶりに綺麗な満月が出ていてたのに……。
雪の中で、泣いていた。
前の人に捨てられて、帰る場所さえなくなって。
このまましんじゃうんじゃないかって……。
しんだっていい。
本当にそんな風に思っていたんだ。
僕がいなくなったって、気にする人もいないから……。
電信柱の横に、うずくまって泣いていた。
「どうしたの?」
赤い傘が電信柱の光に透かされて、とても印象的だった。
優しい笑顔。 そして背中に伸ばされた長い髪が、雪に濡れてサラッ。 と、前にしなだれる。
僕はうつろなまま彼女を見上げた。
「うちに……来る?」
くすっ。 と、笑った顔がとてもかわいくて、僕はどうやら無意識のうちに彼女に抱きついたらしかった。
ぬくもりが、ほしかったんだ。
ひとの、体温が……。 ひとの、優しさが……。
僕は、僕がどれだけこの時うれしかったのか、貴女に伝えるすべを知らなかった。
知っていたとしても、きっと僕にはできない……。
その日から、僕と彼女の共同生活が始まった。
彼女は1人暮らしで、仕事をしている。
朝の7時に家を出て、夜の7時半に帰ってきて、それからあたたかいご飯を作ってくれる。
休みの日には、散歩に出かけて、僕は彼女が花好きだということを知る。
特に、冬に咲く花……。
公園の花壇にすくっ。 と、たくさん咲いているそれを見るたびに、彼女は白い息を吐きながら僕に言うんだ。
「ほら、このすずらんに似た花はね? スノーフレークっていって、冬でも頑張って咲く花なんだよ? こういう、厳しくても一生懸命自分を輝かせようとするのって、思ってるより大変なんだよー?」
僕に目線を合わせて、寒い中それを真剣に語る彼女に、僕は惹かれていった。
「スノーフレークだけじゃなくって、ビルの間に咲いていたりする花もそう。くすっ。 見てて、なんか嬉しいのよね……。 そういえば、最近よく“嬉しい”って態度に出るようになったね。少しは、警戒心なくなってきたかな?」
警戒心どころの話じゃない。 僕は彼女を好きになっていた。
ただ、いっしょにいることが幸せで。