SNOW Ⅱ

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何年前のこと、だっただろう。
あたしはこの街に住んでいた。
うちから5分もかからないで行ける小さな公園。
引っ越してきて、この街に戻ってきてとにかくここに来なくちゃ……って。 家の手伝いもそこそこに、あたしは見慣れたはずの小さな公園に来た。

なんでそんなところにいまさら行くの。

「お母さん、おこってたなぁ」

でも、しょうがない。
小さい頃すっごく大きくて、一番てっぺんまでのぼることさえ大変だったジャングルジムに手をかける。
12月もクリスマス・イヴになるとさすがに寒いし、ジャングルジムなんて、氷みたいに冷たい。

行かなくちゃ……。 って、思ったんだもの。
行かなくちゃいけない。 って。

「でも、なんでだろ」

ホントに。

空気がキン、と張っていて、息を思い切り吸ったら身体の中がしんしんと冷たくなって……痛かった。
音は、何もきこえなかった。
空は、今にも大粒の涙のカタマリを流すかのように曇っていた。

「雪、降りそう……」

しんしん痛い気管をあっためるようにはいた息は、白くにごって、空に消えた。
別にこの公園が特別好きだったわけでもない。
ここへ来たのは……この前は、いつだったかな。
少しの間、ジャングルジムにもたれかかって考えてみた。
あれは確か、引っ越す前日。小学校5年生のときだったと思う。 今から5年前の昨日。

「今日でちょうど5年前なんだぁ、引っ越したの」

すごい、偶然。
あたしは、ほうって、また空に向かって息をはいた。
よっぽど寒くなってきたのか、その息はしばらく白いまんまで……。 そうしたらその息と引きかえにして空からはらはら、涙のカタマリがおりてきた。

「あ、雪」