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 バンッ!

 暑いなか、全力で走ってきたせいで、息は上がっちゃって、顔は赤く、熱くなるし、それでもかけ込んだ美術室では、私がドアを開けた音にまったく動じない彼がいた。

「なんでそんなに、急いで来てんの……?」

 え? だって……。

 と、弁解しようかと思ったのに、どういうわけか大笑いされてしまった。

「いいよそんな!時間厳守じゃなくてもさ。 休みなんだしさー。 そんな、顔まっ赤にしてまでー!」

 なにが、おかしかったのだろう。 わけがわからず私はただただ赤面するしかなかった。

「ほら!」

 ヒヤ。 と、冷たいオレンジを私のほてった頬にくっつけて、高村くんは楽しくてしようがないといった感じで言った。

「冷やしといて、良かったな。」

 なんで、そんなに笑うのか。 私にはやっぱり理解できなかったんだけど……。でも、あんまり笑うのでつられて笑ってしまいました。

 みんなの前でも、こうすれば良かったのかな……。

 その日の夕方。 また理科室では上映会が行われていた。

「どうして、こんなに学校ばかり撮ってるの?」

 スクリーンには、今度は夕陽がかった校舎だけ。

「夏休みなのに、こんな熱心に……。 学園祭で発表でもするの?」

 そのとき、ふっと、高村くんの顔色が変わったのがわかった。 スクリーンからは目を離さずに、静かに、高村くんは口を開いた。

「俺さ、二学期から学校行けないから……。 夏休みが終わったら、カナダの祖母のところへ行くんだ。」

 え? カナダ……?

「思い出に、この学校の映像だけ、もっていこうと思って……」