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「いっか、このままで……」

 私はこのまま変わらないのかと思うと、すごく悲しくなる……。

 ガラッ。

「あれ、岡倉さん?」

 閉めたはずの教室の扉を勢いよく開けられて、反射的にそっちを向いた。 高村くん、だった。なぜか手にはDVDカメラを持っている。

「ごめん。 まさか人がいるなんて思わなかったから、思いきり開けちゃった」

 なぜか私はヘンに緊張してしまう。

「美術室撮りたいんだけどいいかな?」

「どっ、どうぞ」

 私の了解なんておかまいなしにカメラをまわして、その了承をカメラに収める。

 なんで、高村くんが……。

 カメラを教壇の方にパンさせて、うしろの背中で高村くんは私に聞いた。

「ねぇ、何してんの?」

「あ……、構図が、きまらなくて」

 やだな、私なんだか・・・・・・緊張してる。

「かして」

 いつの間に隣りにきたのかわからなかった。 高村くんは一言そういうと机にあったオレンジをひとつ手にとって、ガリッ。と、オレンジにかぶりついた。
 私は予想もしていなかった高村くんのそれに、思わず見入ってしまった。

「ペッ」

 かじられては捨てられるオレンジから、だんだんとあたりがその色に染まっていくかに思えた。

『トパアズ色の香気が立つ』

 どうして、この人は……。 こんなにもあっさりと、私のできないことをやってのけてしまうんだろう。