小説一覧カテゴリー: 中編小説

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p22

「……なぁ、どっかでオレら会ったことねぇ?」 『何、別れたいなんて言うからどんなブスかと思ってたら。 ……なかなか』  柊は頭の中で左回りに戻っていく自分の“記憶”という名の時計に怯え、一歩後ずさる。  ま……さかっ。っ・・・

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p21

 バカバカバカッ! 凌のバカッッ! 昼間のことといい、今の顔といいっ、ひとにヘンな期待させないでよッ!! 「……え?」  柊は自分の憤りに妙な感覚を覚え、自分で自分に声を出して尋ね返してしまう。  それじゃあまるで、あた・・・

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p20

 2人には、柊と凌には、この一時いっときだけ、時間が止まったかのように感じた。  アナウンスも、構内を行き交う雑踏のざわつきも、この2人の所だけを隔離したかのように静まった。  ……そう、2人には思えた。  徐々に速まる・・・

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4

『京都~、京都~』  駅のホームに案内が響き渡る。  静岡から新幹線で名古屋まで乗り継ぎ、名古屋から東海本線へ乗り換えて全所要時間5時間余り。  凌の心配も後にも先にもあれきりで、柊も今や大して普段と変わらない態度を保っ・・・

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p18

 凌はふっと瞳を閉じるが、すぐ様視線を柊に戻し、自分も柊の背丈に合わせてしゃがみ込み、さっき振り払われた手をもう一度、今度はさっきとは違う優しさで、柊の手をキュッと握った。  しかし柊は、今度は振り払おうとせず、じっと静・・・

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p17

 グッと凌が柊の肩を掴んだ刹那だった。 ビクン! と、柊は体を震わせ、間髪を入れずに凌の手を勢い良く振り払い、断末魔の叫びとも似た悲鳴を上げる。 「――っいやぁ! 触らないでぇっ!!」 「どうしたんですか!?」  隣の車・・・

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p16

「っ!? やぁっ!! んぅ……っ!」  あっという間だった。 酒の臭いがあたしを羽交い締めて倉庫に無理矢理連れて行かれるのと、目から涙が溢れ出てくるのとは……。  鼓動が加速するっ。 震えが止まらないっ!! 「まぁ、仲良・・・

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p15

「どういうこと!?」  それは2ヶ月経った日のこと。 夜、先輩に呼び出されて、告白された公園の木の下で、信じられない言葉をあたしは耳にする事となった。 「どういうって……。だから今、言っただろ? 俺は風音が好きなんだよ。・・・

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p14

 柊のまくし立てるような言い方に圧倒したのか凌は唖然とし、柊が缶のプルトップに爪をかけようとした瞬間に笑いだし、笑いながら柊の顔を覗き込んで、穏やかに、優しく言った。 「面倒見のいい女って、俺好きだ」  柊はその言葉を聞・・・

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3

 列車の発車ベルが駅のホームを賑わせ、休みのせいだろうか家族連れの姿が多く見受けられた。  柊は自由席の窓際を陣取り、そのホームに見受けられる仲の良い親子連れを見てボゥっと思い出す。  今日から3日間旅行に行くとか言って・・・

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