小説一覧カテゴリー: 中編小説

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p42

 顔の表情を変えずにひとしずくの涙を柊は頬に伝わせる。 「……お前に、気付かれたくなかった。俺が居なくなったってことをね」  2人は2人、互いに見合ったまま視線をそらそうとはしない。  言葉の交しがなければ、無償の時間が・・・

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p41

「……ねぇ、凌」  囁きかけるようにして柊は、自分の前をゆっくりと歩いている男、凌に問いかける。  そして刹那の間を置き、問われることが分かっていたかのようにして凌は立ち止まり、窓から見える琵琶湖に視線を投げて返事をした・・・

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p40

 優しく言った凌の言葉に誤りはないと自分に言い聞かせ、いつもの営業用の笑みを浮かべて艶のある声でゆっくりと言った。 「ええ。ずっと彼の腕の中にいました。……何なら、サイショからお話しましょうか?」 「柊!」  数メートル・・・

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p39

 その写真は、いかにも“前科者リスト”から引き抜いてきたものだろう。と思わせる写真であった。 「———— っ!?」 「? あぁ、女の子には少々毒だね」  ぐうっと息を詰まらせた柊を見て、黒のダッフル・コートを着た刑事はそ・・・

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p38

 大ホールには、このホテルの宿泊客だろう数名と、ロングコートに身を包み、警察の代名詞とも言える黒い手帳と睨みあいをしている2人の男。そしてこのホテルのオーナーが居た。 「えー、これで全員ですか? オーナー」  茶系のコー・・・

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7

 プルルルルッ! プルルルルッ!  翌朝早く、フロントからの内線で、柊、凌はたたき起こされる事となった。 「……はい」  頭痛と、喩えようのない体のダルさを覚え、柊は目を覚まして受話器を取り、一言返事をした。  隣に居る・・・

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p36

 柊は涙で濡れそぼった頬を包み込まれ、凌のキスと共にベッドに倒れて瞳を閉じる。  然るべき、ことのように……。 「————……っは……。そーゆーことは、男に先に言わせろよ。 ……俺は、柊、お前を愛してる。お前が俺を嫌いで・・・

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p35

 重々しく口を開いた凌を、いつの間にか頬に伝わせていた涙と共に視線を一線凌だけに合わし、自分でも静止できない震えた手で凌の手を握り、苦しそうに告げた。 「い、えるワケないよっ。フラレてすぐに……本当に数秒後っ、そいつはあ・・・

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p34

「凌は、優しいね……」  ギシッ、という音を立てて、ベッドの窓側に柊を座わらせ、凌も右隣りに同じく腰掛けた。 「俺? ……優しかねぇさ。殺人者だぜ? 俺」  ゆっくりと柊の言ったことに凌は反論する。 「……あたしね、逢っ・・・

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p33

「————っ!! にが、何が“家族”よ! 上っ面だけじゃない! ……っ母さん、あたしが本当に苦しい時、どうにもならなかった時っ、自分が言った“コトバ”覚えてる? っふ、『家族の恥じ』! アンタは言ったんだよっ! “あの日・・・

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