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「わぁ……。 3日前のままなんだ。懐かしいなんて、おかしい……」

 ……なにも、知らなかったんだよね。3日前は。
 カタン。 と、壁に立て掛けてあったアコースティックギターを手に取り、影良はすぅっ。 と、息を吸った。
 ジャン!
 ギターがマイナーコードを奏でる。
 歌は、もう歌えないと覚悟していた。 こんな風にギターに触れることすら、許されないと思ってしまった。けれどこうしておれは歌えて……。
 すべてを……。歌っているときはすべてを忘れられていたはずなのに————!

「逃げ出したい夜に 抱いてくれるひとは いますか? いっしょに 泣いてくれるひとは います……か……っ!」

 どうして好きになんてなったんだろう……。 好きになんてならなければ、こんなに苦しい想いもしなかったのに……!
 涙をとめどなく流す影良は、ギターを弾く指をぴたりと止め、ぐっ。 と、ネックを抱え込んで泣き崩れた。

「っふ、う……っ。 こ、うっ、光記さ……! ?!—————っ!」

 喉から声を絞り出して、影良が男の名前を口にした瞬間だった。

「っなっに……! ヤっ、ヤメ……っむぅ!」

 突然、だった。 暗闇から出てきた手の中にあったガーゼで影良は口と鼻を覆われ、苦しみもがく。 が、それもつかの間……だった。
 ……睡、眠薬……? こ、うきさ……————。
 急激な眠気に襲われ、影良は混沌とした闇の中に堕ちていった。

「よし、よくやった。 連れて行け」

「はっ!」