p4
「わぁ……。 3日前のままなんだ。懐かしいなんて、おかしい……」
……なにも、知らなかったんだよね。3日前は。
カタン。 と、壁に立て掛けてあったアコースティックギターを手に取り、影良はすぅっ。 と、息を吸った。
ジャン!
ギターがマイナーコードを奏でる。
歌は、もう歌えないと覚悟していた。 こんな風にギターに触れることすら、許されないと思ってしまった。けれどこうしておれは歌えて……。
すべてを……。歌っているときはすべてを忘れられていたはずなのに————!
「逃げ出したい夜に 抱いてくれるひとは いますか? いっしょに 泣いてくれるひとは います……か……っ!」
どうして好きになんてなったんだろう……。 好きになんてならなければ、こんなに苦しい想いもしなかったのに……!
涙をとめどなく流す影良は、ギターを弾く指をぴたりと止め、ぐっ。 と、ネックを抱え込んで泣き崩れた。
「っふ、う……っ。 こ、うっ、光記さ……! ?!—————っ!」
喉から声を絞り出して、影良が男の名前を口にした瞬間だった。
「っなっに……! ヤっ、ヤメ……っむぅ!」
突然、だった。 暗闇から出てきた手の中にあったガーゼで影良は口と鼻を覆われ、苦しみもがく。 が、それもつかの間……だった。
……睡、眠薬……? こ、うきさ……————。
急激な眠気に襲われ、影良は混沌とした闇の中に堕ちていった。
「よし、よくやった。 連れて行け」
「はっ!」