p21

 

 

 ピルピルピルピル! ピルピルピルピル!
 目覚ましが、鳴ってる。 起きなきゃ……。起きて、学校行かないと……。
 っ?! 私の目覚まし! ……っ私の、部屋?!
 ガバッ! と、起き上がり、辺りを見渡す。 そこに、あの北欧人……ターシャの姿は無く、場所も自分の部屋であることに影良は呆然としてしまう。
 ……どういうこと? あの、部屋じゃない。 あの人、手……。
 ゾクン! と、血を思い出して身震いする。
 あぁ、私、本当に人間じゃないんだ……。あんなコトできるなんて……。

「影良?!」

 バンッ! と、聞きなれた玄関の開く音に、影良は自分の部屋から飛び出して玄関へと行った。

「ゆ、裕也さん……」

「ガセじゃなかったんだな……。 九十九の家へ行くぞ。光記もそろそろ帰るだろ。 ……アンタが急に出てったんで光記のヤツまで飛び出して行ったんだ」

 ドキン……。
 光記さんが……?

「話は後で聞きたいことが山ほどあるんでね。 ここは誰が見てるかわからねぇから、ひとまず車行くぞ」

 裕也の支持で車の中へ入った影良は、何から話そうか……。 と、多すぎる話題に頭を悩ます。
 どうしよう……。色々ありすぎる。

「……——だろ?」

「え、あ……すみません。 なんですか?」

「アンタ兄貴こうきに惚れてんだろ……ってきいたの」

「……っえっ、あ……そ、れは……」 ドキン、ドキン、ドキン、ドキン……。

 裕也は前の席と後部席の間にあるオートウィンドガラスをスイッチひとつで入れ、完全に隔離されてから影良に聞いた。

「……真っ赤になっちゃって。 バカ正直な女。 アンタ自分が悲恋なのわかってんの?」

「……っわ、わかりきってるよ! 別に、いいのっ。 会って……話せるだけで」

 ドクン、ドクン……。 って、体中が心臓みたいになってる……。
 一瞬、しんとなった車内に影良は、変な緊張感を覚えて、ぐっ。 と、体に力を入れる。