~序章 弐~ 白夜来臨 ~ びゃくやらいりん ~
壱~呼び声

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「はぁ、はぁ、っはぁ!」

 1人の少女が、大勢の人並みにもまれ息せき切らして一目散に走っていく。別にここ、都心ではよくある光景であり、誰1人として不思議に思うものなどいなかった。
 ……っごめんなさい、光記さん。 私、これ以上あなたのそばに居られない————! 理性が感情についていけなくなる!
 悲しそうに目に涙を浮かべた影良だったが、突然道をふさがれた事によってその涙は引いてしまった。
 人に、ぶつかったのだ。

「っあ! ごめんなさい! 私……っ」

「Wow! Don’t Mind.」

 う……わぁ! ガイジンさんだぁ……。
 顔を上げると影良の視線に、20センチあまり上からアイス・ブルーの瞳と色素の薄いプラチナ・ブロンドの長い髪が入ってきた。
 北欧系の人だろうか。 ワンレンの長い髪をそよ風に軽くなびかせて穏やかな笑顔で影良を案じた。

「えっと、あのっ! Sorry, well...」

「クスクス。 スミマセン。日本語、話せますよ……」

「えっ! あ、ごめんなさい。 お怪我、なかったですか?」

 とても綺麗なヴァリトン・ヴォイス。 とても日本人でないと思えないような発音で、その男性は言った。

「ええ、この通り。クスッ。 あなたの方が大丈夫ですか? 顔色、よろしくないですが」

「——っあの、ごめんなさい。 急いでますから……!」