小説一覧カテゴリー: 中編小説

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p36

 ドキン……!  かぁっと顔が熱くなっていく。  あたしは自分にびっくりして、うわあって立ち上がった。 「? ……どうした、有栖」 「……っううん! なんでもないっっ! あ、あたし夕飯の買い出し行ってくるっっ!」  なっ・・・

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p35

 ……なんで、わかったんだろう。 なんで、和泉は……。  とくんとくんって、心臓……速い。 「くすっ。 和泉はなんでもわかっちゃうんだね。 ねぇ、なんであたしと婚約しようと思ったの? もし、あたしがすっごいブスだったら…・・・

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p34

『ギター弾ける人はみんな弾けるよ』  なんて昔パパが言った言葉思い出して言った。  和泉はOKって首をたてに振って、ソファに腰かけ、足を組んだ。  すぅっという、一瞬の間。 ぽろろん……って、和泉はチューニングしてから、・・・

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p33

「いやさ、ダイニングのすみっちょにアコギ(アコースティックギター)置いてあんじゃん。 あれって有栖の?」  上がりかけた階段を下りてあたしはダイニングに足を運ぶ。  そこには、使い古されたギターがぽつんと忘れられていた。・・・

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p32

「いいか、有栖にかまうな。もし何かあったら……、ただで済むと思うなよ」  サスペンスの2時間ドラマで人質をとられているヤツが言いそうなセリフを、午後一で和泉に告げた慎ちゃんは、今日は大学の講義を聴きに行かないとならない日・・・

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p31

 よりいっそう腕の力は強くなって、慎ちゃんはあたしを全身で抱いてくる。 「————……っ慎ちゃ……!」 「俺、有栖の笑顔が一番好きなんだ……。 だから、笑ってて。俺の隣で、笑顔でいて……。 好きだよ、有栖」  顔だけ2人・・・

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p30

「ねぇ有栖……。俺、昔から有栖のこと好きだったんだ。 ……昼間の返事、きかせて?」  とくん……。  つながっている手から、慎ちゃんの意思が伝わってくる……。  すごく、うれしい……。 でも、なんで……切ないのかなぁ。 ・・・

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p29

 うぅっ。 こぉんなぐしゃぐしゃな顔のぞかないでよぉ。 ただでさえ顔合わせたくないのにぃ。 「……落ち着いたらでいいんだけど、きいてくれないかな」  慎ちゃんは、小さい子にするみたいにしゃがんであたしを見上げた。  そら・・・

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p28

 慎ちゃんのびっくりして固まった顔が、ふっとあたしからそらされたのを見た瞬間、なんともいえないキモチが広がって……。  慎ちゃんの横をすり抜けてあたしは家を飛び出した。 「ありっ! ――っ!」 「おまえに追う資格はないだ・・・

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