小説一覧カテゴリー: TIMEシリーズ

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p71

 落下する。というのは、意外にスローかもしれない。と、葵はそう思った。  薫の頭を自分の両腕で庇い、迫るみどりの波間をコマ送りでひとつひとつ見る度に、葵は死を確信していった。    もう、目の前で誰も死なせたくはなかった・・・

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p70

 葵はそれ以上目を通せなくなり、ぐっと唇を噛んで顔を背け、息を殺す。 「絶対に赦せなかったっ!! 親が居なくてもっ、あの子にだけは幸福しあわせになって欲しかったの! それでもっ、それでも姉妹2人、別々の所へ引き取られたっ・・・

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p69

「そうよ。大体そんな感じだわ。けれど加筆修正がいるわね……」  にっこりと微笑んだ薫に葵は訳の分からない胸騒ぎを覚える。 「渉は、その通り。日下くんに会う前に、あいつがお風呂に入っている隙を見て仕掛けたの。 脱衣所との温・・・

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p68

 あいつを助けるんだ。 約束、したんだ。  今や葵の心を支えるものはただ一つ、さの想いだけだった。 「上杉さんが犯しただろう罪を睦月に被せて、終わりのはずだったんだ。なのに、今度は唯一の味方である上杉さんまでもが敵にまわ・・・

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p67

「その彼、なんだけどね、自然死ではなく他殺だとさっき正式に鑑識結果が出たそうだよ」  ぎらりと薫の瞳の奥が揺らめいた。 「睦月から聴いた。妹さんの死が、睦月に失恋したせいだって」  葵はカラカラに乾いた喉を少しでも潤そう・・・

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p66

「せっかく誘ってくれたのにこんな所まで連れてきちゃってごめんね」 「いや、少しは気が紛れるんじゃないかと思っていたから」  薫は相模湖をバックに力なさげに笑う。  昨日婚約者を失った相手を誘うなど不謹慎極まりないのだが、・・・

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p65

 ということは、もうすでにその時点からこの一連の復讐劇は始まっていたのか。  けれど、それにしても1年半の時間は長い。その1年半で睦月と接触できる人物を見つけ、抱え込み、睦月を精神的に追いやるように指示をする。それだけの・・・

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p64

「けどな。どうもはっきりしないのが、ほら、前にも言ったろう? 睦月が憎いなら睦月を殺せば良かったのに、なぜ戸野辺と結城の2人を殺して殺人犯にしたかったのか」  そう。うまくすれば終身刑はおろか、懲役も情状酌量でさほど長く・・・

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